企業法務通信

2014年12月12日 金曜日

企業における残業代請求への対策2



企業における残業代請求への対策2
 
  残業代を支払わないで済む方策として考えられるもので,明文上の根拠のあるものとしては,以下の3つがあります。
  A 「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)等,労働基準法
  第41条が労働時間等に関する規定の適用除外と定めている場合
  B みなし労働時間制が採用されている場合
  C 裁量労働制が採用されている場合
 
  しかし,結論からいうと,よほどのことがない限り,①の適用が除外されるケースはありませんし,②のみなし労働時間制や③の裁量労働制が適法とされるケースはありません。
 
  まず,前記A「『監督若しくは管理の地位にある者』(管理監督者)等,労働基準法第41条の定める労働時間等に関する規程の適用が除外される場合」に該当するかどうかについてみていきましょう。
 
  労働基準法第41条は,次のように規定しています。
  この章,第6章及び第6章の2で定める労働時間,休憩及び休日に関する規定は,次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
  一 別表第一第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する
  者
  二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機
  密の事務を取り扱う者
  三 監視又は断続的労働に従事する者で,使用者が行政官庁の許可を
  受けたもの

 
  そして,労働基準法別表第一の第6号,第7号は次のように規定しています。
  六 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植,栽培,採取若しくは伐採
  の事業その他農林の事業
  七 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他の畜
  産,養蚕又は水産の事業

   
  これらの規定から,労働基準法第41条が労働時間等の適用除外と定めているものは,以下の①~⑤のとおりとなることがわかります。
  ① 別表第一第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する
  者(農業・畜産・水産等の事業に従事する者)
  ② 監督若しくは管理の地位にある者(管理監督者)
  ③ 機密の事務を取り扱う者
  ④ 監視に従事する者
  ⑤ 断続的労働に従事する者
   
  このうち,①についてははどのような方が該当するのか明らかですし,実務上問題となることの多い,②「監督若しくは管理の地位にある者」(管理監督者)については次回以降にみていくとして,他の適用除外規定についてみていきます。
 
③ 機密の事務を取り扱う者
      労働省労働基準局長・労働相婦人局長が都道府県労働基準局長宛
 に発した昭和63年3月14日基発第150号婦発第47号「労働基準法
 関係解釈例規について」には,以下の記載があります。
      機密の事務を取り扱う者とは,秘書その他職務が経営者又は監督も
  しくは管理の地位に在る者の活動と一体不可分であって,厳格な労働
  時間管理になじまない者であること。
  
〔昭和22・9・13発基第17号〕
     
④ 監視に従事する者
      前掲「労働基準法関係解釈例規について」には,以下の記載があり
  ます。
      監視に従事する者は,原則として,一定部署に在あって監視するの
 を本来の業務とし,常態として身体又は精神緊張の少ないものものに
 ついて許可すること。したがって,次のようなものは許可しないこと。
    イ 交通関係の監視,車両誘導を行う駐車場等の監視等等精神緊張
   の高い業務
    ロ プラント等における計器類を状態として監視する業務
    ハ 危険又は有害な場所における業務


⑤ 断続的労働に従事する者
      前掲「労働基準法関係解釈例規について」には,以下の記載があり
  ます。
      断続的労働に従事する者とは,休憩時間は少いが手持時間が多い
 者の意であり,その許可は概ね次の基準によって取り扱うこと。
    (1) 修繕係等通常は業務閑散であるが,事故発生に備えて待機するも
   のは許可すること。
    (2) 貨物の積卸に従事する者寄宿舎の賄人等については,作業時間と
   手持時間折半の程度迄許可すること。
    (3) 寄宿舎の賄人等については,その者の勤務時間を基礎とし作業時
   間と手待時間折半の程度まで許可すること。ただし,実労働時間の
   合計が8時間を超えるときは許可すべき限りではない。
    (4) 鉄道踏切番等については,1日交通量10往復程度まで許可するこ
   と。
    (5) その他特に危険な業務に従事する者については許可しないこと。
  
〔昭和22・9・13発基第17号,昭和23・4.5基発第535号,昭和63・
  3・14基発第150号〕
 
 このように,前記①,③~⑤に該当するケースは限られているといえます。
 


投稿者 川崎パシフィック法律事務所

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